ごちゃごちゃにならないために
こんにちは、ののじです。突然ですが、アニクラで同時に2曲以上が流れている時、つまりMIXの時「なんかうるさい」「聞き苦しい」と思ったことはありませんか?残念ながらきっとあると思います。今回はこの不快なMIXを避ける方法について考えていきましょう。
混ぜりゃいいわけじゃない
とにかくコレです。意味つなぎであれ曲つなぎであれ、2曲をただ同時に流しただけではMIXとは呼べません。
考えなしに複数の曲を混ぜると、出来上がるのは不協和音ですらない雑音です。そんなものは誰も聞きたくありません。DJと自称するなら使用曲に泥を塗るような真似をするな!出来るだけ綺麗につなぐことは曲に対する最低限の敬意じゃ!あほんだらぁ!……と、私は思っています。
まあそれはさて置き、アニクラではMIXといってもクロスフェーダーで単純にフェードイン/アウトするだけのプレイが基本となっています。このプレイには大きな問題があります。それは「音の数, 量を全く意識していないため、混ざった時にごちゃごちゃに聞こえる」ということです。
まず「ごちゃごちゃ」とはどういう状態でしょうか。って、これはもう字の通りです。単純にPCとスマホとかで2曲を同時に聞いてみてください。うるさくないですか?なんかとにかくごちゃごちゃしてませんか?
静かな曲ならまだマシですが、アニクラで静かな曲はあまり出番が多くありません。基本アップテンポで賑やかな曲です。このような曲が単純に混ざると……お分かりですよね。
で、「音の数, 量」です。これが大事なポイントになるので詳しく説明していきましょう。
音の数, 量
単純にどれだけの数の音がどれだけの量鳴っているかということなんですけど、もっと感覚的に理解してもらった方がいいと思います。
例えば大人しいバラードの曲と賑やかなポップスの曲があるとします。両方のイントロだけ切り出したとして、音の数と量を比較してみることにしましょう。
大人しいバラードの曲のイントロは、場合によってはピアノしかなかったりします。そしてそれも迫力のある弾き方ではないでしょう。優しく静かな弾き方であることが多いと思います。つまり「音の数も量も少ない」となります。
逆に賑やかなポップスの曲の場合、イントロからドラム, ベース, ギターあたりは当然として、その他の楽器もガンガン入ってくることでしょう。またイントロだからって抑えた弾き方はされません。どんどん前に出てくる感じになるはずです。つまりこちらは「音の数も量も多い」となります。
まあ、言葉で説明するより実際に聞いてみるのが早いと思います。あるフレーズで鳴っている音1つ1つについて意識的に聞いてもらえれば、すぐ分かってもらえるはずです。
さて、これがなぜ大事なポイントかというと「音楽としてきれいに聞こえる音の数, 量には限界がある」からです。雑に言うと単純に多ければ多いほど雑音化するんです。クラシックみたいに大編成でバランスを保つジャンルもありますけどね。
DJはどうしたってMIXをする時は2曲以上を同紙に流すことになります。音の量はともかく、数は当然倍増します。アニソンはDJのことなんてこれっぽっちも考えずに作られていますから、すぐに限界を超えてしまうことになるんです。
ちょっとここでどんなジャンルでもいいので、好きな曲を再生してみてください。そして、その曲に別の音 (楽器) を追加する「隙間」があるかどうか考えてみてください。いかがでしょう。
例えばドラムがない静かなバラードであればリズム楽器を足す余地がありそうですよね。逆に賑やかなロックやポップスはもうそれだけで十分というか、何が足せるのか見当もつかなかったりします。
ただ賑やかな曲であってもひたすらずっと賑やかなわけではないでしょう。緩急をつけるために楽器数が減って静かになる瞬間もあるはずです。その時だけなら何か足せるかもしれません。
何か足しても大丈夫そうな部分同士なら、2曲同時に再生してもぐちゃぐちゃにならないかもしれませんよね。MIXされた部分が雑音ではなく曲として聞こえるようにできる可能性があります。
このようにMIXに使えそうな場所、つまり「音の隙間」を探す基準として「音の数, 量」を意識する必要があるのです。
では、具体的にそれらをどのようにMIXに利用するのかを説明していきましょう。
音が少ないところを使う
先に書いたように音が多すぎてぐちゃぐちゃになるなら最初から少ない部分同士をMIXすればぐちゃぐちゃにならない、という寸法です。単純ですが基本中の基本であり確実です。
実はけっこうこれだけできれいにつながるんですよ。アニソン内でも同じような音楽ジャンル (ロックとかポップスとか) の曲はテンポが割と近くて展開も似ていたりするので、イントロと間奏をつなげて少しばかり音量を調整するだけで自然なMIXが出来上がったりするんです。
詳しいことは別記事で説明しますが「ブレイク」と呼ばれる部分がある曲はさらに簡単につなげる事ができます。なんなら、ビートマッチの必要すらも無くなるくらいに。
なので、とにかく「静か、もしくはおとなしいところでMIXする」を基本として下さい。これだけで雑音化しにくくなります。
ですが当然ながらどんな曲にでも対応できるわけではありません。分かりやすいところで言うと、最初から最後までクライマックスでそもそも静かな部分が存在しない曲がありますよね。イントロも間奏も突っ走り続けるような曲です。
そのままつなごうとすると、相手がどんな曲であったとしても音の数, 量が多くなりすぎて雑音になってしまいます。そんな時はどうしたら良いのでしょう。
削る!減らす!
答えは簡単です。多すぎるのであれば減らせば良いのです。ここで主に活躍するのがEQ (イコライザ) です。
これも詳しくはまた別記事での説明にしますが、EQは特定の周波数帯域をカットもしくはブーストするものです。もっとざっくり言うと、低音, 中音, 高音の音量をそれぞれ上げたり下げたりできるものです。
EQを上手に使うことで不要な音を消す、もしくは目立たないようにする事ができます。これを利用して音の隙間を作り、次の曲を差し込み、入れ替えるわけですね。
よくDJ入門の記事に「MIXする時はLOW (低音) を入れ替える!」って書いてあったりしますが、その理由のうちの1つがこれです。片方のLOWをカットすることで音の隙間を作るわけです。別にLOW限定の話ではありません。MID (中音), HIGH (高音) でも同様です。
例えば賑やかなポップス2曲をMIXするとして、イントロ, 間奏ともに静かな部分が全くないものとします。片方のLOWをカットすると、主にドラムのキックやベースの存在感がだいぶ薄くなります。そうすると、もう片方のLOWとぶつかってもそれほど汚くはならなくなります。同じようにMID, HIGHを適宜調整すればきれいなMIXが完成します。
サクッと簡単に書きましたけど、このEQの調整はかなり曲者です。とても奥深くて、何をどれだけカットすればいいバランスになるかは曲によって完全にバラバラです。何にでも適用できるルールなんて存在しません。
これだけだと「EQで削るのは分かるけど、どないしろっちゅーねん」って感じですよね。申し訳ないですが実際説明しようがないんです。1曲1曲、いろんなEQのバランスを試して試して試し続けるしか自分の中でのベストバランスを見つけることはできません。
ただ、なんの指標もないのに試し続けるのも辛いものです。なのでとりあえず「それなりに使える」手法を紹介します。あくまでそれなりにです。普通にクロスフェーダーだけでつなぐよりは良くなるはずですけど、絶対に調整が必要と言うことは忘れないで下さいね。
- 次曲のLOWをカットしておく。MID, HIGHは50%カット。
- MIX開始。元曲のLOWを徐々にカットしつつ次曲のLOWを上げていく。
- 同様にMID, HIGHも徐々に入れ替える。元曲を下げるのは50%まで。
- 元曲のボリュームフェーダーを徐々に下げてフェードアウトさせる。
感覚を大事に
長々と書いてきて申し訳ないんですが、最終的に信じられるのは自分の感覚のみです。絶対的な正解はありませんので、自分が「きれいにつながった!」と思えるものが正解なんです。
とはいえ、そもそも「きれいなつなぎ」がどういうものかを知らないと始まりません。そこは色んなDJのプレイをたくさん聞いてください。多数派ではありませんが、MIX部分をごちゃごちゃにせず、ちゃんと踊らせてくれるアニソンDJもそれなりに存在します。
そういう上手なDJは、ほぼ必ずMIX時に何かの音を減らしているはずです。ひたすらに重ねてクロスフェーダーやボリュームフェーダーだけで強引につなぐことはありません。一定のバランスを越えないよう注意深くEQなどで調整しています。
まずは上手なDJを見つけ、プレイを注意深く聞き、音のバランスに関する感覚を磨くこと。それがMIXをごちゃごちゃにしないための最初の一歩です。
そして感覚を磨きつつ、ひたすらに曲をつないで練習すると「お、ここは使えそうだな」とか「HIGHとMIDを削れば女性ボーカルが乗りそう」とか「この曲のここと、あの曲のイントロはきれいに合うな」といった風に、バランスを保ちながらMIXするアイデアが浮かぶようになります。
そうなればしめたものです。あとは浮かんだアイデアを元に感覚を信じて自由に選曲してつなぐだけ。ごちゃごちゃにせずMIXすることで、より曲自体の魅力が引き立つことでしょう。
まとめ
- 単純に混ぜると必然的に雑音化する
- 音の数, 量を意識して音の隙間を探す
- 音が少ないところでのMIXを基本に
- EQで音の隙間を作る手もある
- 最終的には感覚勝負